実習「天然林で森林施業」2018

2018年08月14日

「森林研究・フィールドトレーニング」は、北海道大学研究林をフィールドとして、少人数で「研究」を実践的に体験するプログラムです。 2018年8月10日~8月14日(4泊5日)に雨龍・中川研究林で開催された「天然林で森林施業」について紹介します。* このページは北大フィールド科学センター「森林実習ブログ」からの転載です

このプログラムは、針葉樹と広葉樹の混交林など、北海道の天然林をフィールドとして、その特徴と森林施業について学びます。今回は、遠路はるばる、岐阜から二人の学生さんが研究林に来てくれました。
二人とも学部1年生! 「天然林の広葉樹について学び、将来、地元の森林管理に活用したい」「生態系保全と森林資源について学びたい」と、まずは、新鮮な抱負を語ってくれました。研究林内のさまざまな森林を散策。

 まず、最初の2日間は、二人の興味を最大限参考に(←少人数プログラムのいいところです)じっくりと研究林内を回ってみました。中川研究林の「ビッキのアカエゾマツ」。研究林内には多くの大径木が残されています。

こちらは渓畔林。いろいろな種類の木の成育状況を解説します。岐阜と共通する木も多いかもしれません。

森林施業の現場も訪れました。それぞれの目的や方法の詳細もちろん、その課題や問題点についても学びます。中川研究林の大面積・長期施業試験地を説明。残雪期の調査について話したところ、冬にも来たい!と盛り上がりました。

雨龍研究林の天然更新地の調査プロット。大学院生(写真を撮っているので写ってません)が、研究の意義とともに、調査のたのしさ・大変さを伝えます。

3日目、それぞれ興味を持ったことを振り返り、今回取り組む課題について考えました。お、なかなか鋭い着眼点! 何を・どうやって調べたらよいか、を話し合います。

午後は少し休憩...旭川方面に出かけました。まずは旭川市にある「旭川デザインセンター」。天然林材を用いた多くの家具が展示されており、最近は北海道産材の比率を高める動きがあることを学びます。展示場は、素敵な家具が多く、なかなか足が進みません。。。その後、北の住まい設計者さんのオープンハウスへ。ここでは、研究林から伐り出された木が住宅に使用されている様子を見学できました。

せっかくなので周辺観光ポイントにも少し立ち寄って絶景をたのしみ、帰途へ。帰りはすっかり遅くなってしまいました...

雨龍研究林の施設で木工作業も体験してもらいました。森林技能職員がたくさんおみやげをくれました!

そして、4日目、プログラムのハイライトの一日です。

昨日考えた目的をもとに研究計画を立案し、一日、実際に雨龍研究林のフィールドで調査を行いました。

ひとつめのテーマはキハダの天然更新。 1年目の実生を探してマークしていきます。

もうひとつのテーマはシラカンバとダケカンバ。両種の判別をしています。

この日は天候が心配でしたが、なんとか雨には降られずに終えることができました。

夜は北海道名物のジンギスカン! おいしいご飯を食べて早く休みたいところですが、そのあともデータ整理。頑張りました。

最終日の午前中も、まとめの続きです。パソコンで発表準備。「慣れない」と言いながら、器用に仕上げてくれました。

午後、このプログラム最後のメニューは成果発表です。大学院生に加えて、森林管理のプロである、研究林の技術職員にも集まってもらいました。発表時間はひとり15分。

緊張したと思いますが、技術職員からの質問にもしっかり受け答えしてくれました半日ずつの調査結果とはいえ、興味深いデータもありました。2つとも、今後発展させていきたいテーマなので、今回はとても有意義な予備調査にもなりました今回、研究体験の感想はどうだったでしょうか?

短い時間でしたが、二人の当初の抱負「広葉樹を活かした森林管理」「生態系保全と森林資源」について、視野が広がり、興味が増したなら嬉しいです。
まだ学部1年生のふたり。このプログラムへの参加を契機に、この先も、森林の施業や管理についてさらに勉強を深め、将来はぜひ、天然林に関わる人材に育ってほしいと思います。